こんなときはメリットだらけ!

 例えば、3000万円の財産を持つC子が、息子のD太郎の事業開業資金で必要になる1000万円を生前贈与しようと考えていました。ただ、1000万円の贈与には177万円の贈与税が課税されてしまいます。

 このようなときこそ、相続時精算課税制度の出番です。この特例を使えば、1000万円は非課税で贈与することができ、将来的にC子が亡くなっても、C子の遺産2000万円に、贈与で渡した1000万円を足し戻しても3000万円です。

 3000万円であれば相続税の基礎控除を下回るので、相続税は発生しません。結果として贈与税も相続税も0円です。

 このように「将来的に相続税は発生しない見込みだけど、事情により110万円を超える贈与をしなきゃいけない」方にとって、相続時精算課税制度はとても良い制度です。

 ちなみに、父と子の間で相続時精算課税制度を選択したとしても、母と子の間では通常の110万円の生前贈与を選択することが可能です。場合によっては、父と母で使い分けをすれば、良いとこどりができるかもしれません。

 ここで、少しテクニカルな節税方法をご紹介します。相続時精算課税制度を使った場合、足し戻される財産の評価額は、贈与時点の評価額で固定されます。この性質を利用し、例えば、コロナショックなどで一時的に暴落している株式等を、相続時精算課税制度で贈与します。その後、株価が元の水準に戻ったとしても、相続税の計算に足し戻されるのは、暴落しているとき(贈与時点)の株価です。

 結果として評価額を大幅に圧縮できますので、このような使い方であれば、相続時精算課税制度を節税に活用することも可能です

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