Pick up:取材後の谷原氏のコメントを

 授賞式後のそれぞれの受賞者の取材が行われましたが、その中でひとつ、谷原氏のコメントをご紹介しましょう。

「父として生きてきて、賞をいただいたことがなかったので、今回本当にうれしいです。父になって15年目となりますが、『認めていただけたのかぁ』って思いました」と、感慨深い実感を正直に語ってくれました。また、肩車をする父親をモチーフにしたトロフィーを見ながら、「(肩車)やっていましたね。(子どもは)6人いますけど、全員にやりました。若いころには、アクロバティック(に肩車から空中へ放り投げてキャッチするよう)な遊びとかもやっていましたね。そのときの全員の顔が思い浮かびます…」とこれまでの子育ての様子が走馬灯のようによみがえっているようでした。

「ですがこの賞は、妻がいてこそもらえた賞です。妻が子どもたちに対し僕のことを、けなすことなく讃え続けてくれた結果、子どもたちとの関係が成立したと言えます」と言い切るほど奥さまへの感謝を第一にコメント。

 また、「家に帰って改めて、この賞のことを何と家族に伝えますか?」という質問に対して谷原氏は、「テレビだと言いことを言うんですけど口下手なんですよね…。いつもそこに文句を言われるのですが、(照れ笑いを浮かべながら)シンプルに『おかげでもらえました。ありがとう』と言いたいですね」と朗らかに語ってくれました。

 またこの日着用していたジャケットは、自身が高校2年のときに父親に買ってもらったものだということ。「ある日、ブルックス ブラザーズに買い物に行ったのですが、そんなにお金があるほうの家ではなかったのですが、ジャケットを見ていたら父に『欲しいのか?』って言われ…うなずくと買ってくれたんです。なので…かれこれ32年ですね。折に触れて、このジャケットを着ています」と、説明してくれました。そして、「いつか、父から買ってもらったこのジャケットを、子どもたちに着てもらいたいですね」と言いながらも、「うちは(男の子が)3人いるので、誰が着てくれるのか…。体格か、欲しいと言ってくれた子に…ですかね」と、未来に起こるであろう幸せな悩みに関して想像している笑顔は、実に印象的でした。

 最後に、「子は親の背中を見て育つものです。今、うちの父と同居をしていまして、もう84歳です。日々、暮らしていると父の衰えを感じます。それを見て、『僕も年を経たんだな』と…。その父が未来の自分なんだなって思います。いつか僕が今の父の年になったときに、子どもの子どもが『お父さん』と好かれるような父親になってもらえるよう、僕もかっこいい親の背中を見せていけたら…と。この賞をいただいて、改めて身が引き締まる思いです」と、改めて受賞の喜びを語ってくれました。

「あしなが育英会」への
チャリティ寄付報告

 第2部となる「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」授賞式に先立って、第1部では2004年以降「黄色いリボンキャンペーン」として同時に行っている「親のいない子どもたちのためのチャリティ募金」の報告がなされました。

 2021年の「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」授賞式は第40回という節目の回ということで、これまでの受賞者の皆さんからも特別に寄付金が集まりました。その授与のため、フリーキャスターの草野 仁氏が出席。2000年第19回に自らも受賞している同氏が「ベスト・ファーザー一同代表」として寄付の目録を、「あしなが育英会」専務理事の岡﨑祐吉氏へ授与。続けて奨学生を代表して、大学奨学生である田沢花梨(たざわ・かりん)氏が出席し、本会の遺児支援活動についてご報告すると共に、感謝の意を発表してくれました(田沢氏のスピーチの詳細はこちらへ)。