図版:表1新宿西口の金券ショップの回数券価格推移表1 新宿西口の金券ショップの回数券価格推移 拡大画像表示

 筆者は定期的に、新橋と新宿西口の金券ショップを回って値段をチェックしている。2019年の消費税率10%への引き上げで回数券も値上げされ、現在の定価になったのだが、年が明けて2020年初頭からじわじわ新型コロナの影響が出始めた。

 2月ごろから人の移動が減り始め、3月には学校の休校や外出自粛要請が出て、県境をまたぐ移動はしづらくなった。春休みもゴールデンウイークも「ステイホーム」一色、大型連休中の新幹線乗車率は前年に比べ9割以上も減となり、見るからにガラガラ。大型連休明けにようやく新宿西口の金券ショップに出向いて価格を調べたのが、この表の5月の数字だ。

 当時は移動しにくい状況だったので新宿だけのデータしかないが、驚くべきは東京~新大阪で片道1万円を切る売値が出ていたことだ。この時期は出張も激減しており、先がどうなるか見通せず、手元の在庫をとにかく売ってしまおうとの事情だったのだろう。名古屋行きも新大阪行きもあまり変わらない価格になっていることから見て取れる。

 そして、緊急事態宣言が明けた6月になると、新大阪行きは一気に値を戻したが、今度は名古屋行きのチケットの在庫がことごとく切れていた。金券ショップは客からの買い取りで商品を仕入れるのだが、コロナで出張が減るだろうとの予想で正規の回数券を買う人自体が減り、持ち込まれる数も減ったということではないか。

 2021年に入ってからも緊急事態宣言が出たり引っ込んだりで、なかなか人の往来が回復しない。4月は新宿西口、6月初頭は新橋で価格調査をすることができた。一番の売れ筋であり、かつ価格競争が激しい東京・品川~新大阪は1万2000円台と安定している。昨年に比べ出張需要も回復したのか、供給量も復活してきたと推察される。その代わり、新横浜発の値段は微妙な金額だ。

 ちなみに、新橋の金券ショップでは、東京発の方が新横浜発より安いという逆転現象もしばしば起きている。まさに、需要と供給が値段を左右している証拠だろう。