国内「大型4社」の構図に異変
いすゞがUDトラックスを子会社化

 日本の商用車業界は長らく、「大型4社」と呼ばれる企業が対立する構図が続いていた。いすゞに加え、トヨタ自動車の子会社である日野自動車、独ダイムラーグループの三菱ふそうトラック・バス、そしてスウェーデンのボルボ・グループの傘下のUDトラックスらの4社による競争だ。

 2000年代前半に、世界商用車大手の独ダイムラークライスラー(当時)が三菱自動車から三菱ふそうを買収・子会社化し、続いて旧日産ディーゼル(現UDトラックス)をボルボ・グループが買収・子会社化したことで2社が外資系、2社が国産系という色分けができた。

 かつていすゞは、名車と言われた117クーペなど乗用車も展開していたが、02年に乗用車事業から撤退し、商用車事業に専念している。現在の主力事業は、小型トラックと、日本では普通トラックに分類される大型トラック・中型トラックなどの商用車事業、大型ディーゼルエンジンの産業エンジン事業、いすゞがLCV事業と呼ぶタイなどでのパッセンジャーピックアップトラック事業の3事業となっている。

 長らく変化がなかった4社の競争の構図だが、ここにきて目立ち始めたのがいすゞの提携戦略だ。

 4月、いすゞはUDトラックスを買収し子会社化した。これによって、「大型4社」が「大型3社」の構図に集約されることになった。21年度からUDトラックスは、UDブランドを残しながらいすゞの連結子会社となり、グループの一員として活動することになる。

 この買収は、20年10月に締結されたいすゞとボルボ・グループの商用車分野に置ける戦略的提携に基づくものだ。ボルボ・グループは、商用車分野での世界大手であり、とりわけ大型トラックに強みを持つ。いすゞは、大型トラック事業のてこ入れとして、CASE対応やカーボンニュートラル戦略での連携・相乗効果を狙う。