手始めに、22年以降にUDトラックスと一部車型を共有する計画だ。ボルボ・グループの技術を活用しながら、大型トラック分野におけるプラットフォーム開発などを進める。

 また、ボルボ・グループとの戦略提携に加えて、19年には米ディーゼルエンジンメーカー大手のカミンズと、パワートレイン分野での包括提携も行っている。いすゞの産業エンジン事業は中国での建機需要などでも成長しており、乗用車と異なり商用車でのディーゼルエンジンのニーズも根強い。米カミンズとの提携は、商用車のディーゼルエンジン事業の強化を狙ったものなのだ。

 さらに20年には、ホンダと大型トラックのFCV(燃料電池車)の共同研究を推進するなど、提携が加速している。

トヨタとの資本提携が復活
日野も交えた「オールジャパン体制」へ

 何より世間を驚かせたのが、今年3月に発表されたトヨタとの資本提携復活と、トヨタ・日野の3社による小型トラック分野提携だ。

 国内トラック市場で日野といすゞがトップ争いでしのぎを削ってきた中で、日野は01年にトヨタによる子会社化でトヨタグループの位置づけを明確にした。

 その一方で、いすゞは1971年に米ゼネラル・モーターズ(GM)との資本提携以来、長らくGMグループの一員であった。GMの業績不振で提携解消後、2006年にはトヨタと資本提携を結んでいたが、当時ディーゼルエンジン技術の活用を狙ったこの提携はその後進展が見られず、18年に資本提携を解消した経緯がある。

 いすゞは、トヨタとの資本提携解消後、先述の通り19年にはカミンズと包括提携、さらにスウェーデンのボルボ・グループと長期戦略提携を結ぶなど、独自の提携戦略にかじを切っているかのように見えた。