成功するFIREの心得(1)
「本当にやりたい仕事」が人生を幸せにする

 明治・大正・昭和を通じて林学者、造園家、株式投資家として知られ、日本の「公園の父」といわれる本多静六という人がいる。彼は苦学して東大教授になり、「月給4分の1天引き貯金」を元手に投資で巨万の富を築き、大学定年退官と同時に全財産を寄付した人物だ。彼の著した『私の財産告白』は、今もなお資産形成の不朽の名著として高い評価を得ている。

 その著書の中で、彼はこう書いている。「私の体験によれば、人生の最大幸福は職業の道楽化にある。富も、名誉も、美衣美食も、職業道楽の愉快さには比すべくもない」、すなわち仕事が楽しみになるということが人生で最も幸せなことだと言っているのだ。

 これは残念ながらサラリーマン脳に凝り固まった人には、絶対理解できないだろう。筆者自身、現役時代にこの本を読んでも全くピンとこなかったが、定年後に会社を辞め自営業者になってみて、初めて「仕事とはこんなにも面白いものか!」という実感を得た。

 つまり、RE(早期リタイア)自体は結構なことだけど、その後にただ楽しく遊んで暮らすということよりも、自分のやりたい仕事や活動をやるためにREした方がよいということなのだ。もちろん人それぞれなので、50歳で使い切れないぐらいのお金をためて残りの人生、30年とか40年を優雅に遊んで暮らしたいということであればそれもいいだろうが、恐らく、“本当に自分のやりたい仕事をやる”醍醐味には及ばないだろうと思う。