成功するFIREの心得(2)
FIREで大事なのは“RE”よりも“FI”だ

 筆者はむしろこのREよりも、FI(経済的自立)の方がずっと大切だと思っている。早期リタイアするために経済的自立を図る、つまり最終目的を早期リタイアにするのではなく、経済的に自立出来る状況になっていれば、「早期リタイア」という選択も含めて選択肢が増えるということだからだ。

 例えば自分でどうしても納得できない仕事、そしてそれを押しつけられてストレスがたまるぐらいなら、いつでも辞めていいと思えるだけの経済的な余裕を持つことが大事なのだ。

 ただ、勘違いしがちなのは、FI(経済的自立)というと、「投資でもうけてたくさんの資産を持つこと」と思いがちだが、実はそういうことだけではない。もちろん投資が成功して資産形成がうまくいけばそれに越したことはないが、もしそうやって金融資産を築くことがFIだとすれば、一体いくらあればいいのだろう。1億? 2億?いやそれでは残りの人生を過ごすには不安だから、5億ぐらいないと、と考える人もいるかもしれない。

 しかしながら、これには正解はない。いくら多くの金融資産を持っていても仮に運用に失敗すればかなりの部分を失ってしまうということもあり得ないことではない。さりとて安全な預金ばっかりというわけにもいかないだろう。つまり、これだけあれば絶対安心というのはなかなか判断が難しいのだ。

成功するFIREの心得(3)
これから必要なのは自分で「稼ぐ力」

 筆者はここでいうFIとは金融資産のことだけではなく、人的資本も重要だと考えている。人的資本というのは、わかりやすく言えば「稼ぐ力」のことである。「会社で嫌なことがあったら、自分は金融資産を2億円持っているからいつでも辞めてやるぞ!」ということではなく、「どうしても納得できない仕事はやりたくないから、会社を辞めて他で自分のやりたい仕事をやる」と言えることだ。