夫婦別姓「ソフトな反対派」が実は多い

 例えば、その代表的なものが、内閣府がおよそ5年ごとに5000人(有効回収数は3000人弱)を対象にして行っている「家族の法制に関する世論調査」にまつわる報道だ。

 これはマスコミがやっている、無作為に携帯や固定電話にかけてきて一方的に質問をまくしたてる「電話世論調査」と異なる、対面式の「個別面接聴取」だ。そのような点においては、マスコミの世論調査よりも信頼性が高いといえる。

 では、平成29年12月の調査では、どんな結果が出たのかというと、「夫婦がそれぞれ婚姻前の名字を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」と回答したのが、42.5%。かたや、「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきである」は29.3%だった。

「ほら見たことか!」と狂喜乱舞する選択的夫婦別姓支持者の皆さんも多いだろう。一部マスコミも同じリアクションで、この結果が出た時は、「賛成42% 反対派上回る」と報じた。

 しかし、残念ながら、これはちょっと事実と異なる。マスコミの「伝家の宝刀」ともいうべき、「報道しない自由」をフル活用して、自分たちにとって都合の悪い回答を「切り取り」をしているからだ。

 というのも、実はこの調査にはもうひとつ、「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字を改めた人が婚姻前の名字を通称としてどこでも使えるように法律を改めることはかまわない」という回答があった。要するに、選択的夫婦別姓には反対だが、仕事などで困る人がいないように婚姻前の姓も法的効力があるように法改正しましょう、という「ソフトな反対派」だ。このように答えた方がなんと24.4%もいたのである。

 ここをカウントすると、「反対派」は53.7%。純粋な「選択的夫婦別姓賛成」を上回ってしまうのだ。