◆仕事・営業
◇怒りを真正面から受けない

 謝罪が必要なとき、相手の怒りを真正面のポジションから受け止めてはいけない。正面から対峙する姿勢は緊張感が高まるため、相手がかえってヒートアップしてしまうおそれがあるからだ。真正面ではなく少しずらした位置から謝るようにしよう。

 怒りが収まらない相手には「ペース&リード」も有効だ。まず相手にペースを合わせ、それから自分のペースにリードする。

 具体的な事例を紹介しよう。新型コロナウイルスの影響でマスクが品薄になったとき、あるドラッグストアで「なんでマスクないんだ!」と怒る人がいた。これに対して店員が「本当に、どこに行ったんですかね!マスク!困りますよね!」と勢いよく返答したら、相手は「そうだよな。どこに行ったんだか」とおとなしくしてくれたという。

 これは、怒っている相手の勢いに合わせるテクニックである。「すみません。入荷していなくて……」と申し訳なさそうに謝っても、相手の怒りは収まらない。ならば相手の勢いに合わせて、ペーシングしてしまえばいい。

◇我慢しないでうまく自己主張する

 常に自分の主張を我慢しているとストレスがたまってしまう。気持ちを押し殺さず、適切に自己主張するようにしたいものだ。

 自己主張には3つのタイプがある。攻撃的に自己主張をする「アグレッシブ」、内心嫌だと思っていても自己主張をしない「ノンアサーティブ」、そして相手を傷つけずに自分の主張もする「アサーティブ」だ。日本人には「ノンアサーティブ」が多いが、このタイプは、我慢を重ねて急に怒りを爆発させ、相手との関係を断つなどといった極端な行動に出てしまうことがある。

 めざしたいのは、「アサーティブ」な人である。相手も自分も大切にしながら適切に主張を伝えられれば、いい人間関係が築けるはずだ。