官僚たちの「虚偽答弁」は常習!?
90年代の大蔵省時代もモラルに欠けていた

 歴史を振り返れば、戦前から官僚の違法行為など定期的に発生している。贈収賄はもちろん、文書偽造、詐欺、痴漢などあらゆる犯罪をやってきた「前科」がある。厳しい言い方をさせていただくと、「質」が落ちたも何も、「質」が高かった時代などないのだ。

 しかも、安倍・菅政権の恐怖政治のせいでモラルが壊れたみたいにやたらと被害者ヅラをするが、官邸主導への政治改革以前のはるか昔からモラルを欠いたことをやってきている。

 わかりやすいのが、森友学園問題の国有地売却をめぐる財務省の文書改ざん問題の時に注目を集めた「虚偽答弁」だろう。

 マスコミが匂わしていた「ストーリー」はこうだ。佐川宣寿元理財局長(当時)などが国会で虚偽答弁をしたり、文書の改ざんを近畿財務局に命じたりしたのは、安倍首相からそのような命令があったからであって、このような前代未聞の事態が起きたのは、「強すぎる官邸」への恐怖心から、財務省幹部たちのモラルがことごとくぶっ壊れてしまったからだ――というのだ。

 ただ、これはかなり無理筋な話である。財務省ではかねて誰に命じられるわけでもなく、ただただ自分たちの保身のためだけに、「虚偽答弁」をしていたからだ。

 1991年6月、証券会社が大口顧客に対して総額約2164億円の損失補填を行っていたことが明らかになり、国会では大蔵省がどういう指導を行っていたのだと厳しい質問が浴びせられた。そこで大蔵省の担当者は、準大手の証券会社の補てんについて、このように答弁をした。

 「90年3月末までに自主的に報告をしていたのは6社」
 
 顔色一つ変えない典型的な「官僚答弁」だったが、実はこれはデタラメだった。本当のところこの6社のうちの1社が報告したのは4月11日、もう1社も4月に入ってから数回に分けて報告をしていたのだ。なぜこんなしょうもない嘘をついたのかというと、大蔵省が定めた報告の期限が3月末だったからだ。4月にずれ込んでいると公文書に残せば、大蔵省の証券会社行政はぬるいとナメられてしまう。要するに、メンツのためだ(本連載バックナンバー『大蔵省時代にも前科あり、「忖度と改ざん」は財務省伝統の悪癖だ』参照)。

 バカバカしいと思うだろうが、もっとバカバカしいのはこの「虚偽答弁」がデタラメだとバレないように、事実の方をねじ曲げて、「虚偽答弁」を「正しい答弁」にしてしまおう、という稚拙な隠蔽工作に走ったことだ。