小6の4月から中学受験の塾を探し始めたが、予想外の苦労があった。「受け入れてくれる塾がほとんどなかったんです。受け入れOKだとしても、転塾者限定。中学受験は小4から準備することを初めて知りました」

 4月の終わりにようやく決まったが、そこは主に高校受験をサポートする塾だった。

「小6の塾生はわたし含め2人。だけど、もうひとりの子がやめちゃって。集団塾のはずなのに個人塾状態(笑)。先生はわたしのペースに合わせてくれて、競争もなくゆったりしていましたね」

 公立の小中一貫校に通っていたため、「落ちても元の学校に通えばいい」と思っていた。最後まで切羽詰まった気持ちにはならなかったという。

「一般的な中学受験とは別物の経験だったと思います。厳しい環境や競争が苦手な私には、合っていたかな。これから中学受験をする人の参考には、あまりならないかもしれませんが……(笑)」

学校選びの基準は「忘れ物が届けられる距離」

 志望校選びで両親からの条件として挙げられたのは、女子校であることのほかに、家から近いことだった。理由は、「学校が遠いと、忘れ物を届けるのが大変だから」。

「最初は、なんで忘れ物をする前提で話が進むんだろう、と思っていました。でも、思い返すと、忘れ物をして届けてもらうことが何度もあった。今は、家から近い学校を選んでよかったな、と思います」

 無事合格した学校では先生や友達、先輩に恵まれ、創作活動にも集中できた。「中学生の間に、2冊も本を出せました。新刊を出すとサインを頼まれたり、学校にポスターを貼ってくれたり。温かく見守ってくれています」