新型コロナウイルスの世界的流行が始まって、間もなく1年半。ビジネスパーソンの働き方も、さまざまな変化を続けています。中でも大きな話題となったのが、企業のオフィス縮小や解約です。
直近では日本HPやDeNAによるオフィス縮小移転の発表が注目を集め、都心部の下げ止まらない賃料や空室率の上昇を背景に「オフィス縮小の流れが加速」と報じられています。ところが、実はコロナ禍においてもオフィスの拡大・増床といった前向きなリニューアルに踏み切る企業は少なくないのだとか。オフィス移転サポートサービス「SMART WORK KIT」などを手掛けるヒトバデザイン代表の佐藤誠吾氏が、オフィスづくりの今を語ります。(取材・構成/ライター 井関麻子)
オフィス事情は規模でも異なる?
中小企業では「拡大」の動きも
コロナ禍でのオフィス問題といえば、テレワークの常態化でオフィスが不要になったり、業績が悪化したりといった理由で「解約・縮小が増加している」というのが一般的なイメージでしょう。ところが、当社に直近1年間でオフィス移転に関するご相談をいただいた範囲では、明らかな縮小移転は全体の10.6%とごくわずか。逆に、拡大・増床を伴う移転は89.4%を占めています。
■対象企業数:47社(対象期間中に、オフィス移転に関するご相談をいただいた新規顧客数) 拡大画像表示
また、面積は変えず機能向上やリブランディングを目的とした「オフィスリニューアル」意向の相談まで含めると、縮小に関する相談は全体の3%ほどです。
当社の顧客はITや不動産・人材系といった、比較的コロナ禍の影響が少ない企業が多いのですが、これらの従業員50~1000人程度の企業では、縮小の傾向はほとんど見られません。
メディアで報じられている企業は従業員2000人以上などの大企業が多く、その規模では縮小も盛んに行われているのかもしれません。しかしコロナ禍で業績にダメージを受けていない、資金力も十分にある中小企業は、賃料の下がっている今こそ拡大・増床のチャンスと捉え、攻めのオフィス移転・リニューアルに挑んでいるのです。
では、コロナ禍で移転やリニューアルを敢行する企業は、どのようなオフィスづくりを行うのでしょうか。