どれほど熱心な映画ファンでも、シリーズ物には飽きが来る。映画館チェーンの投資家もその点は同じようだ。米映画館チェーン大手AMCエンターテインメント・ホールディングスは、2500万株の新株発行計画に関する株主投票を取りやめると明らかにした。投票は29日に開催する年次株主総会で行われる予定だった。どうやらこの計画には、個人投資家が大半を占める新たな株主層から反対の声が噴出し、撤回に踏み切らざるを得なかったようだ。アダム・アロン最高経営責任者(CEO)は「多くの賛成、多くの反対」が寄せられたとツイートしていた。「AMCはこのように意見が割れたまま先に進めることは望んでいない」という。こうした動きはAMCにとってもアロン氏にとっても逆風となる。同氏は米ゲームソフト小売り大手ゲームストップの幹部らよりもはるかにミーム株ブームを当てにしていた。一時は苦境に陥っていたAMCは、4月下旬から6月上旬にかけて3回の株式売り出しを行い、総額約12億ドル(約1330億円)を調達した。アロン氏は今回の新株発行計画について、拡大と成長への投資が促進されるとしてツイッターでしきりに宣伝していた。新型コロナウイルス流行で多くの小規模映画館が廃業したことで、AMCやシネワールド、シネマークなどの大手チェーンはシェア拡大の好機を手にしている。