郵政消滅#3写真:毎日新聞社/アフロ

地方の名士出身者が多く含まれる旧特定郵便局長。彼らを組織化した全国郵便局長会(全特)は1万9000人の会員数を誇り、日本郵政グループの経営に大きな影響力を持つ存在である。その“うるさ型”が、昨今の不祥事の多発やグループ業績の悪化に対して、危機感を募らせている。特集『郵政消滅』(全15回)の#3では、全国に散らばる地方郵便局長会に所属する複数の幹部に、匿名で本音をとことん語ってもらった。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

座談会参加者
A…全国郵便局長会(全特)幹部経験者
B…郵便局長・全特地方幹部
C…郵便局長・全特地方幹部
D…郵便局長・全特幹部

99.9%の郵便局長は真面目に仕事をしている
「世襲・転勤なし」が不祥事を生むはずがない

――郵便局長の不祥事が相次いでいますが、その背景に郵便局長の不転勤や世襲の問題があると批判されています。「全国郵便局長会」の皆さんは、どう受け止めていますか。

A 日本郵政グループの犯罪が報道されたからといって、郵便局がぜんぶ悪いと見られるのは心外。実際は99.9%以上の郵便局長や社員は真面目に地道に仕事をしている。でも、その郵便局長の不転勤や世襲の問題の批判って誰が言っているの?マスコミは「異動しないから犯罪が起きる」なんて言うけれど、地域のお客さんはそんなこと一言も言っていないですよ。

B 全国の郵便局で一件でも不祥事があれば、そういう目で見られるのは仕方ないけど、私ら郵便局長は地域に根差して地元に溶け込んでいる。もしも何か問題を起こしたら一家離散です。それくらい緊張感を持って仕事をしているので、本来はそんな不祥事はあり得ないことですね。

C われわれが転勤しないから不祥事が起こるっていわれますけど、転勤する銀行や信用金庫など金融機関でも不祥事は起こっているよね。だから転勤しないことを理由に不祥事が起こっているというのは違うと思います。

A 全国郵便局長会には「地域に根差す」という理念があるので、手柄を立てて偉くなるという職種じゃないんですよ。だから異動、転勤をする必要なんてない。われわれは地道にコツコツとお客さまのために、地域のために働くのが一番重要。そのことをもっと知ってもらいたいですね。

――郵便局長が異動したり転勤したりするのは、嫌なのですか。