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「一刻も早く全容を解明する」「うつむいて立ち止まっているわけにはいかない」「グループ全体で危機感を共有し、愚直に誠実に顧客の声に応えていく」
日本郵政の増田寛也新社長は9日の就任会見で、自らに言い聞かせるかのようにそう繰り返した。
増田氏は昨年末、「インフルエンザで高熱を出して寝込んでいた」ときに、社長就任の打診を受けたという。
いったんは固辞したものの、その直後に、総務省の前事務次官と郵政の鈴木康雄・前上級副社長の間で、行政処分を巡る情報漏えい問題が起きた。
混乱が極みに達した様子を傍から見て去来したのは、「ここまでいくと誰も(社長を)引き受けないだろうな」という思いだった。
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かつて総務相として郵政民営化に携わり、3年半前まで政府の郵政民営化委員長を務めていたこともあって、この状況で“火中の栗”を拾えるのは自分しかいないと腹を決めた。
そうして郵政グループの再生は、増田社長ら新経営陣に託されることになったが、その道のりはあまりに険しい。