生産は愛知県の元町工場に新設した専用ラインのGRファクトリーが担当。タクトタイム600秒、ベルトコンベアなしで1台1台丁寧に熟練スタッフの手で生み出される。

 走りは刺激たっぷりだ。フットワークは“軽さは正義”を実感する。車両重量は1280kgだが、体感上は1200kg前半のイメージ。セオリーどおりに走る限りは、オンザレールのハンドリングが印象的。グイグイとノーズがインを向くアンダー知らずのフロントとドシッと踏ん張るリアのバランスは秀逸だ。しかもドライバーのアクション(アクセルやブレーキ、ステアリング操作)次第でオーバーステアまで持ち込める自在性も持ち合わせている。

 GRヤリスの走りは、これまでのトヨタ車になかったセットアップである。

 偉大なる先輩たち……三菱ランサー・エボリューション、SUBARU・WRX・STIが生産終了となった現在、スポーツAWDのDNAを受け継いだ“令和のラストサムライ”と呼びたい1台である。

(CAR and DRIVER編集部 報告/山本シンヤ 写真/小久保昭彦)

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