本書の要点

(1)夫婦は「家族会社」の共同経営者だ。良好な関係を維持するためにも、お互いのキャリア構築のタイミングを長期的な視点で話し合い、役割をどう担っていくかを調整する必要がある。
(2)仕事ができる人ほど、家庭内で子どもの「召使い」になりがちだ。子どもの発達に応じて「親の手」を引き算し、子どもの自立を促そう。
(3)人生100年時代には、自分たちの「生活」に合わせて「働き方」を変えていく必要がある。自分の興味関心に沿った働き方を選ぶことが、幸せのターニングポイントになる。

要約本文

【必読ポイント!】
◆「仕事」の習慣
◇夫婦のキャリアプランを長期目線で共有する

 子育て中の共働き家庭において、特に日本型企業で働く男性社員が夫だった場合、妻のキャリアが犠牲になることが多い。旧来的な日本型企業では長時間労働が前提とされているため、家事育児を妻が担うことが期待されがちだからだ。

 利益は享受しつつも必要なコストは出さない状態を「フリーライド」と呼ぶが、この言葉は最近、働き方にも使われるようになった。例えば保育園から子どもが発熱したと連絡があった場合、まだまだ日本は妻が対応するケースが多くある。その場合、夫側の企業は、まったく損失が発生しない。これは夫側の企業が、妻側の企業の人事制度や福利厚生にフリーライドしていることになる。

 家事育児も同じだ。本来やるべき仕事をパートナーに負担させていれば、相手は思うようにキャリアを形成できないだろう。

 健全な夫婦関係を築くためには、お互いのキャリアを長期目線で共有する必要がある。夫婦は「共同経営者」であり、夫と妻で「家族会社」を経営していると考えてみよう。そのうえで、長期の経営目標として、お互いのキャリア構築のタイミングを話し合っておく。そうして、「お互いのキャリアに対してどう思っているか」や「長期目線でどう役割を担っていくか」を調整する。