米国の金利上昇による評価損計上などで
純利益が9割減少するT&DHD

 上位2社は金融業が占めた。トップのT&Dホールディングス。金銭信託運用益が落ち込むことに加えて、傘下のT&Dユナイテッドキャピタルの投資先であるフォーティテュード社が米国の金利上昇に伴って会計上の一時的な評価損を計上するために、2022年3月期の純利益は前期比90.1%減の160億円となる見込みだ。スルガ銀行は2位。貸出残高が減少し、利息収入が減少する上に、与信費用の増加もあり純利益が大きく減少する。

 再生可能エネルギーの発電、開発・運営を手掛けるレノバが3位となった。同社の純利益減少には特殊要因がある。

 21年3月期は徳島津田バイオマスを持分法適用対象から連結対象になったことによる段階取得差益、および仙台蒲生バイオマスのコールオプション取得によるオプションの公正価値評価益、合わせて106億円を計上していた。22年3月期も苅田バイオマスの連結化に伴う段階取得差益を計上するものの、純利益は前期比55.7%減の51億円に減少する。

 本業そのものは、不振ではない。売上高は同46%増の300億円となる見込み。ただ、開発に伴う費用負担が重く、営業利益段階では、同2.1%増の47億円となる見通しだ。

 4位はNEC。22年3月期は、買収したAvaloq社が通期で寄与し、5G関連の売り上げも拡大し、売上高は前年比微増の3兆円を確保する。しかし、DX人材強化や5G関連の費用が増加し、営業利益は前期比22%減の1200億円となりそうだ。一時的な税負担の軽減もなくなることもあり、純利益は同55.2%減の67億円となる見込みだ。

 石油元売り大手のコスモエネルギーホールディングスが5位。22年3月期は前期に享受できた原油価格上昇による在庫評価益などが細ることに加え、税負担軽減がなくなるために純利益は53.4%減の400億円となりそうだ。

 9位に北海道電力、12位に関西電力、13位に中部電力と電力会社が上位に顔を出している。共通した利益の減少要因は、原油価格上昇が販売価格上昇に先行することによる採算悪化である。また、北海道電力や中部電力については、21年3月期にあった厳冬による卸電力価格急騰による利益がなくなることも業績の足を引っ張る。

 なお、今回のランキングの完全版では、6位以下も含めた全79社それぞれの「予想純利益減少率・減少額・予想純利益」を掲載している。ぜひ確認してみてほしい。

>>予想純利益の減少率が大きい企業ランキング【全79社完全版】を読む