20万部のベストセラー待望のマンガ版『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』が発売された。前作で「転職は悪」という風潮に一石を投じ、日本人の働き方を変えた北野唯我氏が、今回は「自分にはキャリアの武器が何もない」と思っている主人公の奈美(もうすぐ30歳)の悩みに答えを出す。「やりたいことがなければダメ」「S級人材以外は有利な転職は無理」など転職の常識が次々と覆される。この連載では、本書から特別に一部を抜粋して紹介する。

「優秀なのに年収が上がらない人」が知らないビジネスの根本原理Photo: Adobe Stock

マーケットバリューを高める3つの方法

 この図は、マーケットバリューを箱の大きさで表現たものです。箱を見ると、マーケットバリューが最も高くなるのは、技術資産、人的資産、業界の生産性を3つすべて備えている人だということがわかります。理想は2つ以上が高いことですが、1つでもいいのです。まずは、どれか1つを取りにいきましょう。

1 技術資産
 技術資産は、ほかの会社でも通用する技術的な蓄積のことで、大きく分けて2つあります。1つは職種に紐付く「専門性」で、法人営業やマーケティング、経理、プログラミング、デザインなど、職種に近いものです。もう1つは職種に紐付かない「経験」で、リーダーの経験、マネジメント業務、商品開発などの経験です。できれば20代で専門性を身につけて、30代で経験を重ねていくのがベストです。

 特に女性は、早いうちに専門性と経験が得られる職場を選んでください。出産・子育てを見据えた場合、ついつい企業固有の魅力的な福利厚生に注目しがちですが、その福利厚生がずっと続いていくという保証はありませんし、転職・転籍で使えなくなる可能性もあります。

 一方、仕事で得る知識と経験は、自分に蓄積されていくものです。十分な専門性と経験があれば、たとえ離職期間があっても、働ける場所はたくさんあります。

2 人的資産
 ひと言で言うと、人脈のことです。「あなただから」と動いてくれる人がどれだけいるかです。自分にマーケットバリューがあることが前提で、40代以降の活躍を大きく左右する資産です。もちろん、20代、30代でも人的資産は大切です。あなたを信頼し、認めてくれる人を増やしましょう。

3 業界の生産性
 業界の生産性は、一人当たりの粗利のことで、これが、給料の原資となります。「業界の生産性」は、業界によって、最大20倍ほどの差があります。そのため、同じくらいの激務なのに、給与が高い業界と安い業界が存在するわけです。

 もし、技術資産も人的資産も乏しいなら、「生産性が高い業界」か「今後、伸びる業界」を選んで働くことで、マーケットバリューを高められます。

(※この記事は、『マンガ このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』からの抜粋です。)