スティーブン・ペンケビックさんは、内燃エンジンを完成させた米デトロイトのエンジニア団の一員として、フォード・モーターで36年を過ごした。内燃エンジンは、自動車時代の幕開けにまでさかのぼる技術だ。ペンケビックさんは、ファミリーセダン向けのエンジンのほか、NASCAR(全米自動車競争協会)のレーシングカー用エンジンも開発した。しかし、昨年までには、そうした興奮は消えうせていた。ペンケビックさんの仕事は、もはやエンジンを進化させることではなく、既存の技術を生きながらえさせることになっていた。話題の中心は完全に電気自動車(EV)に移っている。ペンケビックさんは昨年12月、59歳で早期退職した。