自民党総裁選に関する申し入れを幹事長代理の柴山昌彦に提出した新潟県連会長ら自民党総裁選に関する申し入れを幹事長代理の柴山昌彦(左から3人目)に提出した新潟県連会長ら。今度の総裁選は党員投票が実施されるため、支持率が低迷する首相の菅義偉にとって負荷は大きい Photo:JIJI

「今回の宣言が最後となるような覚悟で政府を挙げて全力で対策を講じる」。首相の菅義偉が国民に向かってこう約束したのは、東京五輪開催中の7月30日の記者会見だった。この日開かれた政府の感染症対策本部で、すでに緊急事態宣言が発令されていた東京都と沖縄県に加え、神奈川、大阪など4府県が発令対象となった。この会見で五輪の中止の可能性について問われると、菅はこれを即座に否定した上で、「五輪は感染拡大の原因にはなっていない」と言い切った。

 因果関係は証明できないとはいえ結果を見れば、五輪後に爆発的に感染拡大しているのが現実だ。8月13日には1日の新規感染者が初めて2万人を超えた。12日に開かれた東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議では専門家から強い危機感が示された。「(感染拡大は)制御不能で災害レベルの非常事態だ」

 菅も17日、緊急事態宣言中の6都府県の期間延長に加えて茨城、京都、福岡など7府県に宣言を発令。まん延防止等重点措置は16道府県に及び、全47都道府県のうち29都道府県がいずれかの対象となった。期限も9月12日まで延長された。この感染拡大に反比例するように、各メディアの内閣支持率は「過去最低」が並ぶ。

 東京五輪の熱気を背に政権浮揚を狙った菅の思惑は木っ端みじんに吹き飛ばされた。当然、菅が描いた衆議院解散シナリオも大幅な修正を迫られる。