自民党幹事長の二階俊博との会談を終えた東京都知事の小池百合子。小池は直後に記者団の取材に応じ、自身の国政転出説について「私はそういう意思を一度も言ったことがない」と強調した自民党幹事長の二階俊博との会談を終えた東京都知事の小池百合子。小池は直後に記者団の取材に応じ、自身の国政転出説について「私はそういう意思を一度も言ったことがない」と強調した Photo:JIJI

 東京都議選の余韻が残る7月5日午後5時すぎ、東京都知事の小池百合子が東京・永田町の自民党本部を訪れた。小池は病み上がりのはずだが、それとは無縁のはつらつとした姿は“凱旋将軍”のようだった。

 4日投開票の都議選の結果は、「自民復活」の前評判は木っ端みじんに吹き飛ばされて33議席。逆に小池が特別顧問を務める都民ファーストの会は「一桁転落」の予想を覆して自民に迫る31議席。自民党がもくろんだ「自公で過半数(64議席)」に届かなかった。終わってみれば「小池劇場」のシナリオ通りだったのかもしれない。

 小池は6月22日夜、「過度の疲労」を理由に突然公務を休み、都内の病院に入院した。都議選の告示まであと3日。当然、告示日には動けず、静養が続いた。小池は自民党幹事長の二階俊博と選挙前に「都議選は全方位で臨む」との約束を交わしており、その「究極の回答」ともいえた。

 小池の入院が報じられると、図ったように都民ファーストの支持率が上昇に転じた。分水嶺となったのが6月28日付の「読売新聞」朝刊。都議選に関する世論調査で小池の支持率は前回(5月末)より2ポイント増の59%。それに呼応するかのように「都議選で投票する候補者の政党・団体」の質問で自民党は7ポイント減の23%。都民ファーストは6ポイントアップの17%。潮目の変化は明らかだった。小池の耳にも当然、この情報が入っていたに違いない。