1人目の子どもは無償化の恩恵を受けられたのに
2人目の高校入学で全額自己負担に

 都内在住の会社員のSさん(50)は、子どもの進学のために投資信託を解約しなくてはならないとショックを受け、悩んでいます。妻(49)とは共働きで頑張っており、3人いる子どもは長女(私立高校3年生)、長男(長女と同じ私立高校1年生)、次女(中学3年生)です。

 子どもの教育には力を入れたいという方針のSさんは、高校からは私立へ行き、スムーズに大学進学してほしい、そう考えて面倒見の良いといわれる私立高校へ、長女、長男を入学させました。都内では一足早く私立高校の授業料の補助が始まっていましたし、制度の改正でその金額も上がりました。年間にかかる学費の半分程度で希望する私立に通えるのなら、願ってもないことだと思ったのです。

 長女は高2まで、無償化の恩恵を受けられました。次男も同じ学校に入学し、設備費等の負担は大きいですが、授業料がかからないから頑張って支払っていこう、そう思っていた矢先、なんとこの年から全額自己負担となることが分かりました。受けられるのは、都が実施する子どもが3人以上おり、授業料無償化の対象とならなかった家庭が受けられる「多子世帯における授業料支援」の5万9400円/年のみ。2人の子が対象となりますが、1人の上限46万7000円/年と比較すると、本当にわずかな金額です。

 思い起こせば、昨年は妻が役職に就き、収入が上がりました。Sさん自身も業績がよかったため収入が上がり、世帯年収が60万円ほどアップしていたのです。これはこれで喜ばしいことのはずなのですが、子どもの授業料負担が約80万円/年もアップ。つまり、収入が60万円が増えたために支出が80万円増え、年間20万円のマイナスとなってしまったのです。