駅トイレで21歳青年が性被害に、声を上げられない男性たちの深刻実態Photo:PIXTA

性暴力が報じられるとネット上では二次加害(セカンドレイプ)にあたるコメントが書き込まれることが多く、男性の性被害の場合はさらに理解のない中傷にさらされがちだ。無理解や偏見は変えていかなければならない。(フリーライター 小川たまか)

なぜ逃げられなかったのか、なぜ抵抗しなかったのか

 8月に入ってすぐに報じられたあるニュースが、ネット上の一部で話題になった。

「駅の男子トイレで21歳男性脅し乱暴か…75歳男を強制性交等の疑いで逮捕 翌日も会う約束していて現れる」(8月1日/東海テレビ)

 記事のタイトルの通り、同性間での性暴力事件だ。インターネット上では、同性間の事件であることや加害者と被害者の年齢差についての言及が目立った。

 性暴力のニュースが報道されると、性別にかかわらず二次加害にあたるようなコメントが書き込まれることがいまだに少なくない。短文の記事に書かれたわずかな情報から、被害者の「落ち度」を詮索するようなコメントだ。

 このニュースの場合も詳しい情報がほとんど分からないにもかかわらず、なぜ逃げられなかったのか、なぜ抵抗しなかったのか、あるいは「気色悪い記事を出すな」といった書き込みさえも見られる。

 被害者が女性の場合でも「なぜ逃げなかったのか」といった二次加害は行われがちだが、今回のように被害者が男性で、しかも加害者が高齢者という場合、「逃げられるはずだ」と簡単に考える人がより多いのかもしれない。しかし、それは大きな間違いだ。