ワクチン接種の予約が取れるかどうか、そしていつ受けられるのか。一部ではまるで「運」のような状況になりつつある。格差のあるところには焦りや不安も生まれるものだ。ワクチン接種格差にまつわる庶民感情を探った。(フリーライター 武藤弘樹)
ワクチン接種にも“広がる地域格差”
格差あるところに不満は生じる
国内で新型コロナのワクチン接種が着々と進んでいる。高齢者への優先的な接種は実に妥当に思えるが、それ以下の世代では職域接種で早々に済ませた人もいれば、自治体からようやく予約開始時期についての通知が来た人もいて、接種のタイミングに大きなバラつきがある。そしてどれくらい早く接種できるかは運の要素が強く、遅い人からすると早い人がうらやましく、不公平感が生まれやすい状況になってしまっている。
早期接種は「運だけではない」が、たまたま住んでいた地区やネット環境、会社に左右されるなど「運要素も強い」から、早期接種を願ってもかなわない人からすると現況がなおさら不条理に感じられてしまう。「ワクチン接種は政府が音頭を取って進めている政策なのだから、接種時期の格差が広がり過ぎるのは問題である」と不満を抱く人が出てくるのも当然だ。
健康、命に関わる問題が運に左右されるほどの不条理はないし、「受けたいのに受けられない」人が少なくない現況を問題視するのは自然な“庶民感情”である。
普段は社会問題に切り込む連載ではないが、ワクチン接種時期のバラつきについて、数人の声を紹介しながら庶民感情をさらに探ってまいりたい。