日本がEV化競争で自滅することなく、「脱炭素革命」のリーダーを狙える秘策日本が脱炭素のために取るべき最適な手段がEVであると、本当に言い切れだろうか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

EV化で先行する欧州・中国
日本の火力発電はなくならない

 欧州・中国が脱炭素(カーボンニュートラル)を目指して自動車の電気自動車(EV)化で先行する一方、日本は遅れをとっているという見方がある。しかし、日本がカーボンニュートラルのために取るべき最適な手段がEVであると、本当に言い切れだろうか。日本を取り巻くエネルギー環境を整理するとともに、循環型社会に向けた次世代燃料や動力源について、多面的に考察してみたい。

 欧州は、2020年に再生可能エネルギー(以下、再エネ)のシェアが化石燃料を初めて上回り、主力電源となった。欧州で再エネの普及が進んだ背景には、発電コストの低下がある。欧州の再エネ発電コストは、日本の半分以下だ。近年では、中国も再エネ発電コストが急速に低下しており、普及を後押ししている。

 一方、日本は、2030年にエネルギーミックスの36~38%を再エネで賄う目標を設定したが、火力発電比率は41%を見込んでいる(7月21日発表『エネルギー基本計画(素案)の概要』より)。2050年目標のグリーン成長戦略でも、原子力+火力+CCUS(カーボンリサイクル)の合計で30%~40%を見込んでいる。つまり、日本の火力発電はなくならない。