アメリカのアマゾンで
日本発の商品を売る

 では、お客様の悩みはどう抽出するか。

 社内会議で様々な悩みが挙がると、それを解決する商品があるかを調べる。

「ヤフー知恵袋」などネット上の悩み相談サイトを見ると、既存商品で解決されている場合と、そうでない場合がある。

 同時に、その悩みがどれくらいキーワード検索されているかも調べる。

 悩みを「需要」と考えたときに、それに対する供給量がどれくらいあるかを観察して、空きがあれば商品開発を検討する。このやり方は海外マーケットに進出する場合も変わらないだろう。

 私たちが明確に区切っているのは「ネット上で」という部分だ。

 アメリカの実生活になじむのではなく、アメリカ人の悩みを解決する商品がネット上で売れるかどうかを見ている。逆に言えば、基本的にネット上でしか調べない。

 たとえば、アメリカのアマゾンで商品を販売するとしよう。

 この場合、現地のアマゾンでどんなものが売れていて、売れているものに対してどんなコメントがついているかを日本で調べる。

 アメリカのアマゾンで売れるには、アメリカのアマゾンを徹底的に調べるのがベストだ。現地に行って生活者にヒアリングするよりも彼らのネット上での行動を調べるほうが重要だ。ネット上のアマゾンこそが、商品購買のリアルな場所だからだ。

リアルとネットのマーケティング調査法

 生活者に対するリアルなマーケティング調査をやった場合と、アマゾン上で調べる場合とで、必要とされている商品は異なる。

 たとえば、北海道の特産品を売る場合、新千歳空港で売れる商品とネットで売れる商品はまったく違う。

 新千歳空港でお客様が商品を買うときはどんな状態か。

 北海道旅行の帰りで結構テンションが高い。「北海道、楽しかったなあ。思い出に何か買おう」という場合、「北海道らしさ」は重要だ。

 一方、ネットで買うときはどんな心理状態か。

 旅行に行っていたわけではないので、テンションはそんなに高くない。新千歳空港ではついカニを衝動買いしてしまうが、ネットでは十分に比較検討する。

 タラバガニとズワイガニと毛ガニではどれがいいか。さらに松葉ガニと越前ガニと上海ガニと比べたらどうかなど、北海道の特産品を買おうと思っていたはずが、他の地域の特産品にも欲が出てくる。つまり、品質や価格を冷静に比較検討したうえで買う。これはある意味シビアだ。リアルでの販売とは異なり、ネット販売は、「比較検討されたうえで本当に売れるかどうか」が重要だ。

 その点、ネット販売の場合、取扱説明書をじっくり読んでもらえる。

 たとえば、当社の健康食品の競合商品はドラッグストアで売られている。ドラッグストアでは、有名メーカーのブランド商品が大きく展開されている。ブランド買いなのでほとんど説明書を読まずに買っていく。

 一方、ネット販売の場合、商品の隅々まで文章で説明できる。品質に自信があれば、しっかり説明を書いておけばいい。

 現在は日本を中心にやっているが、これからはGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)のプラットフォームを通じて世界に展開していく。

 現在、ネットで広告を出す際も、広告メディアはたくさんあるが、海外展開しているプラットフォームを活用してノウハウを蓄積している。