DMNがエネルギーの最大の浪費家
振り返ってみると、どれだけぼーっとしているときでも、ナツの頭の中にはいろいろな雑念が浮かんでは消えを繰り返している。
そう、DMNは「心がさまよっているときに働く回路」として知られている。そして人間の脳は、なんと1日のおよそ半分以上を心さまようことに費やしているというのだ。
ヨーダ「重要なのは、DMNのエネルギー消費量は、脳の全エネルギー消費の60~80%を占めるとも言われておることじゃな。つまり、DMNこそが脳のエネルギーの最大の浪費家であり、ここに脳の疲れの正体があるのではないかということなんじゃ。逆に、何か意識的な作業をするにしても、追加で必要になるエネルギーは5%ほどじゃというから、いかにDMNが大食漢かということじゃな。
脳を休めたければ、エネルギーの浪費家であるDMNを使いすぎないようにせねばならん。マインドフルネスに習熟すれば、その要である内側前頭前野と後帯状皮質の活動を抑えることができる。こうして瞑想は、雑念が脳のエネルギーを無駄遣いするのを防いでくれるというわけじゃ」
ナツ「なるほど、ただぼーっとしていても、脳は動き続けているから、まったく休息にならない可能性が高いってことですね」
瞑想が脳と心を整える
ヨーダ「あとは、うつ病の人たちには『あのとき、ああしておけばよかった』というネガティブな思考の反復、いわゆる反芻思考がよく見られる。この種の思考も脳の疲労に直結するわけじゃが、これもまたDMNの使いすぎとの関連性が指摘されておる」
ナツ「くよくよと思い悩む人ほど、脳のエネルギーを浪費するってことですね」
ヨーダ「そういうことじゃ。あとは、2012年のスペルドゥメッティのメタ解析も参考になるぞ」
この研究でも、瞑想時には脳活動の変化が認められていた。活動変化部位は、尾状核(不要な情報を除いて注意を向けることに関与)、嗅内野(心がさまようのをとめることに関与)、内側前頭皮質(自己認識や統制に関与)など。やはり、瞑想には脳と心を整える効果が見込めるということだ。
(本稿は、『世界のエリートがやっている 最高の休息法』から一部を抜粋し、編集したものです)