地震、風水害などの自然災害の当事者になる可能性が、誰にとっても高い日本。では、自分が被災者になったときの医療費の扱いはどうなるのだろうか。連載『医療費の裏ワザと落とし穴』の第228回では、防災週間に考えたい「災害時の医療費の裏ワザ」をお届けしよう。(フリーライター 早川幸子)
もし自分が被災したら、災害時の医療費ってどうなるの?
誰もが知っておきたい被災時の医療費の基礎知識
今年も、防災週間がやってきた。1923(大正12)年9月1日、相模湾北西部を震源とした巨大地震が発生した。この地震による被害は、東京、神奈川を中心に関東一円に広がり、のちに関東大震災と呼ばれる災害に発展。約10万5000人の命が奪われた。
また、9月1日は、立春(2月4日頃)から数えて210日目にあたる。いわゆる二百十日で、この頃は台風の被害が多くなるシーズンでもある。1959(昭和34)年9月26日の「伊勢湾台風」で甚大な被害を受けたこともあり、9月1日を「防災の日」とすることが、1960年6月に閣議了解された。
以後、9月1日は、国や地方自治体だけではなく、国民ひとりひとりが、災害への認識を深め、これを未然に防いだり、被害を最小限に食い止めたりするための防災活動をする日となった。
今年は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、大規模な避難訓練などは見送った団体も多いはずだが、大雨や台風の被害が頻発している今、日本全国、どこで災害に見舞われてもおかしくはない。
実際、今年7月の大雨は、静岡県熱海市で大規模な土石流を発生させ、死者・行方未明者27人の人的被害を出したほか、鳥取、島根、鹿児島の9市2町にも爪痕を残した。また、8月の大雨は、長野、島根、広島、福岡、佐賀、長崎の21市町村が被害を受け、これらの市町村では災害救助法が適用された。
そこで、防災週間の今週は、災害時の医療費の特例措置について、改めて確認しておきたい。
●一定条件を満たした被災者は医療費自己負担分が無料になる