緊急事態宣言発令中の渋谷Photo:PIXTA

世界平均を超えた
日本の新型コロナ感染

 足もとでは新型コロナの新規感染者数が減少に転じているが、第5波の感染拡大によって、人口規模との比較で見た日本の感染状況は、世界平均を大きく超える厳しいものとなった(図表1)。感染の急増によって、必要なPCR検査が一部の地域できちんと実施されていないという指摘もあり、新規感染者の増加は、公表されている数値よりもっと多いかもしれない。

 東京オリンピック・パラリンピックの開催が、こうした状況にどの程度、影響を及ぼしたかは定かでないが、無観客といっても海外から多くの人が来日する一大イベントの開催が、世界的な感染拡大期と重なってしまったことを考えれば、影響がゼロであったとは言えないだろう。

 これまでも日本の感染状況は、世界の感染状況と連動する傾向にあったが、それでも国内での感染拡大は抑制されていた。アジアは欧米に比べて何らかの要因によって感染が抑えられているとか、マスク着用やうがい手洗いの励行といった日本の草の根の予防策が効果的だといった指摘は間違いではないものの、それだけに頼っていては限界があることもはっきりしてきた。

 それだけにワクチン接種の拡大が必要だが、日本はワクチンの開発や調達においては欧米に後れを取り、2回接種した人の割合は人口の5割弱だ。一方、感染力の強い変異株が現れ、集団免疫の獲得に必要な接種率は、人口の6~7割から、8~9割に上がったと言われている。ワクチン接種に先行した国では、接種率7割の壁にぶつかっているようだ。

 日本でも接種が急ピッチで実施されるようになったが、今はまだワクチンが足りず、若い人を中心に接種を受けたくても受けることができないのが現実だ。集団免疫の獲得は、まだ先の話だろう。