投資に充てるお金は「支出」なのか

 節約好きのNさんは、悪い言い方をすれば「ケチ」といっても過言ではないような生活をしています。そのため、支出の一つである「投資の積立額」を増やすことには抵抗があるようなのです。正直ちょっと極端で、資産に対する価値観のアップデートをすべきではないかな、と感じます。

 なぜ、投資額を支出と認識されているかというと、ご本人が明確に認識されているわけではないようですが、リスクがあり、損をする可能性が強くあるということが原因のようです。「損をするかもしれないから、そう多くの金額を出せない」というリスク許容度の低さと、投資への理解が十分ではないゆえの不安が、投資に充てるお金も節約するという考えにつながっているように感じました。これでは、どっちつかずの状況で、資産形成の成果も中途半端に行き着くことでしょう。

 その後、何度か面談に来られましたが、結局はさらに余剰金を増やすための支出の見直し、貯金額の確認までで、その先に変化は起こせませんでした。

節約意識の強さがマイナスになることもある

 Nさんのように、投資は必要だと思っているのに、なかなかその金額を増やせない人の中には、生活費の節約意識が強すぎるタイプもいます。投資はリスクが伴うものですし、必ずしも元本が守れます、お金を増やせますと断言できるものでもありません。ですが、投資の中でも手数料を意識し、パッシブ運用系の投資信託などで積立投資を長期間継続すると、複利の効果も出始め、やがて価額の下落があった時にも耐え得る状況に成長すると見込めます。それを継続するために、きちんと投資を勉強することが非常に大事です。しかも、それはそう難しいことではなく、多くの方にできるレベルのことです。

 お金が大好きで大切だと思っているのに、そこを理解できず将来への資産形成にするための投資を活用できていない、ということにならないようにしましょう。とはいえ、普通身の回りでそういった助言をもらう機会はないでしょうから、まずは自分がこれからどういう方向で資産形成をしていくのか、いったん立ち止まり見据えてみる、ということをされてはいかがでしょうか。