企業経営者が臆病だから企業が儲かる

 株主が企業の生み出す利益の分け前にあずかるといっても、そもそも企業の利益がプラスになるのはなぜだろうか。もちろん、赤字になる企業もあるが、多くの企業の利益を長い期間にわたって集計すればプラスになっているわけで、企業の利益の期待値はプラスなのだ。

 その理由は、企業経営者が臆病(慎重?)で、儲かるか損するかの確立が五分五分の投資案件には投資しないからだ。「投資して損をするリスクは取りたくないが、儲かる確率が6割あるならば、リスクを取って投資をしても良い」という経営者ばかりなのだ。

 そうなると、少し勇気のある経営者は容易に「59%の確率で儲かる投資案件」を手にすることができる。だから、世の中の企業の平均損益はプラスなのである。

 企業の利益の期待値がプラスであるとはいえ、株価が上がるとは限らない。それは、株価の変動要因が多様だからだ。たとえば、短期的には美人投票の世界なので「投資家が株価の下落を予想して売り注文を出したので、株価が下落した」といったことが起こり得る。

 しかし、長期的な株価は企業の実力を反映したものとなるはずだ。正確にいえば、企業の実力を反映した「妥当な株価の水準」を中心として、それを上回ったり下回ったりするはずなのである。

 したがって、妥当な株価の水準が上がっていけば、長期投資をしている間に株価が値上がりしていくはずであるし、少なくとも下がらなければ長期間に支払われる配当の分だけでも預金金利を上回る利益が得られるはずなのである。