株の長期投資は、企業の生み出す価値の分け前にあずかろうとするもので、銀行預金より期待値が高い。それは、株式投資家も企業経営者も臆病だからである。(経済評論家 塚崎公義)
株の長期投資は
企業の生み出す価値を得ようとするもの
株式投資には、短期投資と長期投資がある。短期投資は、企業の価値が変化しない間に株式の価格が変化することから利益を得ようとするものだ。長期投資は、企業が生み出す価値の分け前にあずかろうとするもので、両者は全く性格が異なる。
企業は、株主と銀行から資金を調達し、材料を仕入れ、労働者を雇い、物(財およびサービス)を作って売る。売値から材料の仕入れを差し引いた差額が、企業が生み出した付加価値であり、それが労働者への賃金、銀行への金利の支払い、株主への配当および内部留保となる。
株主は、配当という形で付加価値の分け前にあずかるわけだが、内部留保も究極的には株主のものだ。企業が解散するときには株主が受け取れるし、株価純資産倍率(PBR)が一定だとすれば、株価を押し上げることで株主の利益となるだろうし、内部留保を用いて投資をしてさらなる利益を稼げば、それも株価上昇の要因となるからだ。
株式の長期投資がバクチではなく企業への投資であるという点については、拙稿を併せてご参照いただければ幸いである。