最終的に得た自身の結論は「サッカーのそばにいたくて、テレビを見るのが好きで、お酒を飲めたらよい」であった。そして、この柱に沿った企業を探すことにした。

 集めた資料には全国のテレビ局ほか、スポーツ用品メーカーやJリーグスポンサーの飲料メーカー、競技場の芝の管理会社など、アナウンサーに絞らず、自分で書き出した希望に沿った「たて軸就職活動」を行った。結果、どの面接でも軸がぶれずに堂々と答えられた。

◆自分と向き合う「5行日記」
◇日記の効用(1):過去と今の自分の比較

 著者は日本テレビ入社以来27年間、仕事の後に一日を振り返りながら「5行日記」をつけているという。

 日記の良いところは、過去を振り返り、今の自分と比較できるところだ。著者が書いているのは主に仕事日記だが、その日の「感情の揺れ」も記すことがある。揺れ幅が大きい日ほど、喜怒哀楽が日記に残されている。この記録を振り返ることで、過去の自分がどんなことを考えていたかを思い出し、自分の成長や現在地を知ることができる。

 東日本大震災が起きた3月11日の日記の振り返りは、毎年欠かさず続けている。3月11日は毎年被災地から中継をする。

 震災が起きた当時、1年後、2年後……と順に振り返ると、文字の丁寧さや筆圧などから、その時々の自分が見えてくる。もっとこう伝えればよかったとか、年に数回しか被災地へ行けない自分が現場を伝えていいのか……という葛藤も記されている。

 今年の中継はどんな気持ちでやるべきかと姿勢を整える上で、仕事日記はなくてはならない存在だ。日記はいわば、未来の自分への贈り物である。

◇日記の効用(2):アンガーマネジメント

 瞬時にわいた強い感情をコントロールする「アンガーマネジメント」。数秒待つことで感情整理の効果があるというが、字を「書く」ことにも同様の効果がある。

 文字を書くという行為には時間がかかる。日記を書き始めようとした時にはイライラしていたとしても、ペンを走らせるうちに、感情が収まることがある。このタイムラグが、アンガーマネジメントにつながるのだ。