日本株に悲観的だった
海外の大手投資家

 これまで、大手の海外投資家の多くは、日本株に悲観的な見方が多かった。わが国の経済がなかなか成長過程に復帰できないことに加えて、今後の政治情勢にも明るい見方ができなかった。特に、菅政権が続いた場合、自公連立政権が総選挙で過半数を維持するのは難しく、政権の不安定化を懸念する投資家の見方は根強かった。

 7月に入ると、わが国ではコロナ変異株による感染再拡大によって、経済活動に欠かせない人流が抑制された。社会の閉塞感は高まり、政権支持率が低下した。当然ながら、経済活動にも重要なマイナス要因となった。

 同時期、海外投資家は空売りも含めて「日経225先物」(日経平均株価を対象とした株価指数先物取引)を売り越した。加えて、彼らは日経平均株価に採用されている現物株も売った。それによって、日本株の展開は不安定化し、それが売りを呼ぶ悪循環に陥った。

 元々、世界の主要投資家の日本株に対する見方は、日本株イコール「世界の景気敏感株」との認識が強かった。日本経済の構造を見ると、自動車など一部の製品を除いてかつてのような独創的な製品群は見当たらない。そのため、自力で需要を創出する実力が十分ではない。世界の景気が上向きになれば、それなりの業績回復を実現することができる一方、世界の景気が落ち込むと、どうしても日本経済全体も足を引っ張られることになってしまう。

 日本株の趨勢(すうせい)は、世界経済次第ということだ。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、世界経済の先行きが不透明になると、どうしても日本株に手を出すことが難しくなる。それが、海外投資家が日本株への関心を低下させていた大きな理由だ。