「とりあえず始める」が吉

 仕事の「ばらつき」を避けるためにも、一定のパフォーマンスを挙げ続けるためにも、集中力は欠かせない力だと思います。
   集中力に関してよく耳にするのが、「やる気を出すまで、集中するまでに時間がかかる」という悩みです。このような場合は、「とりあえず始める」ことをおすすめします。

 たとえば、「掃除をしたくないなあ」と思っていても、ひとたび重い腰を上げて掃除を始めると、意外と集中して気づけば部屋全体がピカピカになっていた、なんてことはありませんか?
   これは、心理学者クレペリンが見出した「作業興奮」という考え方です。

 作業興奮とは、作業を始めてみるとだんだん気分が盛り上がってきて、やる気が出てくることを指します。これには脳の一部である「側坐核」という部分が関与していて、実際の行動で刺激されると側坐核は活発になります。
   これが活発になるとスイッチが入ったも同然。作業を難なく続けることができます。

苦手なことこそイキナリ始める

 苦手なことに着手するときも、「作業興奮」を活用する方法はおすすめです。
・アポイントメントを入れることが面倒だったら、何も考えず受話器を上げて、いきなり相手に電話をかけてしまう。
・企画書作りは時間がかかるからと、つい後回しにしてしまう人なら、文書作成ソフトを立ち上げて、「○○の企画について」と、企画書のタイトルをいきなり打ち始めてしまう。
   こんな具合に、小さな一歩を強引でも踏み出してしまうのです。

 ただ、「作業興奮」を活用にするには注意点があります。
・十分な睡眠で神経(側坐核)を休ませてあげること
・適度な運動で脳に刺激を与えること

 ガムを噛むことが嫌いではないという方は、やや小さめの味の薄いガムを噛みながら作業すると良いかもしれません。ある研究ではガムを噛む前と噛んだ後では噛んだ後の方が記憶力が良くなったとの結果があるようです。
   顎の筋肉を動かすことも手軽にできる運動の1つです。