「知の探索」が成功者を生む!
ブレイクしている若き後継者の共通点とは?

尾原 なぜ入山先生は、そういう起業家の方々と接点を持っているんですか?

 日本は100年企業が多い国だし、伝統企業の跡継ぎが「今流の経済」を学ぶのが背景にあります。でも、そういう承継が広がっていくのは何がきっかけなんですかね?

入山 僕はPRESIDENT Onlineで「第二創業(事業承継)」という連載をしていました。

 日本は、基本はファミリービジネスなんですよ。日本には今、ファミリービジネスで革新を起こしている人たちがけっこういます。

尾原 事業承継をしたら革新して、企業価値が変わるということですね。

入山 そうなんです。日本の97%はファミリービジネスで中小企業だから、そこの革新に価値があるだろうと。ここ3〜4年は、そういうおもしろい跡継ぎに会う連載をやっていました。

尾原 なるほど。

入山 そこで会って、彼らの共通点がだいたいわかりました。もともと彼らは家業を継ぐ気がないんです。

 だから父親の仕事のことを考えない。むしろ自分がぜんぜん関係ないことで一発当ててやろうと思う人も多い。

尾原 あははは(笑)。本業を継ぐ気がないから、過激なことを1回やってみるということですね。

入山 おっしゃる通りです。僕の言葉を使うと、経営学でいう「知の探索」だと思っています。

尾原 「両利きの経営」ですね。

入山 はい。僕がファミリービジネス系の企業講演で言っているのは、「一番やっちゃいけないのは今のお得意さまのところに修業に出すことです」と。

 お得意さまのことはわかりきっているから、「知の深化」しかしません。なので、可能な限り家から離して変なことをやらせたほうがいい。岩田くんも家業を継いだけど、ずっとBCGに行っていましたし。

尾原 そうですね。

入山 例えばサンワカンパニーという「建材界のユニクロ」と言われている会社があります。そこの山根(太郎)くんも、後を継いで大ブレイクしています。

 彼は伊藤忠商事に入って「自分で新しい事業をいつかやってやる」と思っていたら、お父さまが病にかかってしまった。「後を継いでほしい」と言われて継いだら、今、大ブレイクしているという。

尾原 だから現業の深掘りをするだけじゃなくて、外で探索していた種を持って現業を深掘っていくと、いろんな新しい掛け算が起こると。

入山 はい、そうですね。

尾原 プロセスエコノミーの掛け算が、日本は100年企業の老舗、第二創業が多いタイミングでハマって、ちょうど萌芽し始めているということですね。

入山 そうですね。それなのに、それに気づいていない人たちがいる。でもこの1冊があると、「2〜3時間で読めるから、これを読みなさい」と言えるので、本当にありがたいなと思います。

>>(2)に続く