家族信託は「究極の節税対策」か、得するスキームと意外な落とし穴とはPhoto:PIXTA

超高齢社会を迎え、認知症患者が600万人を超える日本。そんな中、さまざまな家族で悩みの種となるのが相続だが、その対策の有効な手段として今、「家族信託」が注目されている。この家族信託とはどのような仕組みなのか。年間1000件の相続税申告・相談に携わる筆者が、実例をもとに解説する。(税理士・OAG税理士法人資産トータルサービス部部長 奥田周年)

「家族信託」の仕組み
成年後見制度との違いとは?

 信託とは「信じて託す」との文字通り、信頼できる第三者に自身の財産やその管理などを託す制度である。

 かつては信託業法の免許を持っている信託銀行など、一部の機関のみが信託の受託者となっていた。だが、2007年の改正信託法施行によって制限や規制が緩和され、家族間で信託する「家族信託」を利用しやすくなったのだ。

 信託には大きく分けて、商事信託と民事信託の2種類がある。商事信託は、信託銀行などが営利を目的として依頼者の財産を預かることを指す。一方で民事信託とは、一般人が非営利で依頼者の財産を預かることである。この民事信託の中で、家族が財産を預かる形態のものを家族信託と呼ぶ。

 家族信託で最低限、必要な登場人物は以下の3者となる。

(1)委託者……財産を持っている本人
(2)受託者……財産を預かり管理・運用・処分などを行う人
(3)受益者……財産からの運用益や処分代金を受け取る人

 委託者から受託者へと預けられる財産を「信託財産」と呼ぶ。信託財産の名義は受託者へと変更され、受託者はその管理・運用・処分を行えるようになる。