世界規模の需給の崩れと
半導体不足の関連とは?

 では、最初にグローバル規模での需給の崩れの話から始めます。実は需給バランスが崩れているのは半導体だけではありません。いろいろな商品が同じ需給バランスの要因から値上がりしています。

 今、ワクチン接種が浸透して、「さあ、これからコロナ前のような生活を始めよう」と思って何かを買おうとする人が増えています。

 経済学的に言うと需要が急回復した状態です。ここで問題になるのは、需要が今立ち上がっても、供給は数カ月遅れでしか立ち上がれないということです。

 例えば、この10月から居酒屋の需要が急回復していますが、日本全国で焼き鳥不足が起きています。この理由は焼き鳥を加工して日本へ送るタイの工場がまだフル稼働していないからです。

 また、ガソリン価格の上昇も話題になっていますが、これもメカニズムは同じです。世界的に経済回復が始まって、あらゆる分野で石油の需要が増えているのですが、原油の輸出国ではまだ生産設備の稼働が抑えられたまま。結果として原油価格の高騰が起きています。

 ですから、需要ばかり立ち上がっても供給が追い付くまでタイムラグがあるのはしょうがない現象です。おそらく鶏肉やガソリンについては、年末商戦に間に合わせるのは厳しくても年明け頃には供給も追いついてくるのではないでしょうか。