日本のクリエイターが世界で戦うなら、
工芸をベースにしたほうがやりやすい
細尾 現代アートに何十年も携わってこられた秋元さんが、ベネッセアートサイト直島、金沢21世紀美術館、「GO FOR KOGEI」などで、工芸を取り入れるようになったきっかけは何だったのですか?
秋元 コンセプチュアルなものは「新しい文脈がつくれるかどうか」が国際的なアートでの一番のポイントなので、頭脳的でないといけないってずっと思っていたんだけど。でも直島の後半から金沢へ移っていく中で、「日本のクリエイターが海外に出て行ったときに戦闘力の高いかたちで行けるのって、工芸をベースでやったほうが良いんじゃないか」って思い始めたんだよ。
日本で新しいものをつくっていく上で慣れているのが、やっぱり工芸的な取り組みだったわけ。工芸的な取り組み方から抜けることができないなら、そこから展開すれば良いんだというふうに思った。
細尾 確かに日本人と工芸の相性が良いというか、工業製品をつくっても非常に工芸的になってきますからね。
秋元 そうなっていっちゃうんだよね。日本で現代アートを欧米的にアプローチしていくのが難しいなら、あるものを積み上げて突破するしかないんじゃないかなと思った。
細尾 なるほど。西洋の現代アートはどちらかというと頭とか概念的なコンセプトから来ていて、日本の工芸はどちらかというと身体から来ていると。
秋元 そうだね。