新しい価値観でサービスを
サブスク向きにトランスフォーム
これまではサブスクリプションモデルを採用していなかったサービスでも、もしサブスクリプション的な継続利用型へシフトできるのであれば、冒頭で述べたとおり、プロダクトとしてはメリットが多くなります。そこで、サブスク向きでないサービスを、何らかの方法でサブスク向きにトランスフォーム(変革)できないか検討することには意味があると思います。
先にサブスク向きでないとして挙げた、特定の時期に需要が集中する、あるいは頻度が低いイベントというのは、考え方によっては従来のライフスタイルやワークスタイルに基づいて、時期や頻度が決まっているに過ぎません。
たとえば引っ越しにしても、「新しい生活様式」ということが言われるようになった去年あたりから、若い世代やアクティブシニアと呼ばれるような人たちの中には「定住生活をしなくてもいい」という価値観を持つ人が増えています。
そうした新しい価値観に合わせて、多拠点生活をサブスクリプションモデルで提供する「ADDress」「HafH」といったサービスも定着しつつあります。これらは月額定額を支払えば、全国に設けられた拠点を自由に行き来して住み放題になるというサービスです。さまざまな拠点を移動しながら働いたり、各地域の住民との交流を楽しんだりといった、新しい生き方を提案し、それなりの支持を得ています。
今までなら、転居というのは転勤の辞令が出た時など、限られたタイミングでしか考えなかったものですが、もっとカジュアルに考えてもよいものへと変化しつつあるのかもしれません。
新しい生き方の提案という観点では、家具のサブスクリプションサービスなども登場しています。これらのサービスでは、「一度買ったら使い続けるもの」というイメージが強い家具や家電を月額定額で利用できます。
企業のイベントについても同様です。人事評価も特定の時期に集中する業務で、先ほどは「サブスクに向いていない」例として挙げましたが、これも価値を限定するから半年に1度、年に1度のイベントとなって、サブスク化できないだけとも考えられます。