数年前から米国の大手企業を中心に、従来の人事評価制度を否定する動きがあり、特に「定期的なレーティング(点数付け)には意味がない」ということが言われるようになっています。つまり、常にリアルタイムでフィードバックを与えることが、部下の成長を促し、職場環境を良くするというのです。
この観点からいえば、人事評価だけにフォーカスするのではなく、部下とのエンゲージメントの構築や、リアルタイムでのフィードバックといった、本来人材育成にとって重要な業務にも焦点を当てることで、サブスクリプション化が可能になります。実際、そういった機能を持つ人事システムのサブスクリプションサービスは、すでにいくつも存在しています。
固定観念を変えれば、サブスクリプション化できるものはまだ、ほかにもあるはずで、私も新しい試みとして注目しています。従来の発想では「向いていない」と思われる製品やサービスのサブスク化についても、思考実験してみることで新たな事業の扉が開くかもしれません。
サブスクビジネスのキモは
「プライシング」にあり
サブスクリプションビジネスを始めるにあたり、事業者が考えなければならないのは「プライシング」です。SaaSやサブスクリプションサービスを提供するときのビジネスモデル、どのように値段を設定するかという方法には、いくつかのかたちが考えられます。
最も分かりやすいのは、一律固定のフラットな料金体系です。アマゾンの電子書籍の読み放題サービス「Kindle Unlimited」は月額980円の一律料金で利用できます。また、「Apple Music」や「Spotify」といった音楽系のサブスクリプションサービスも同様に、一律料金で提供されるものが多いです。
また価格を階段状に設定する料金体系もよく見られます。例えばNetflixでは、画像の解像度や同時視聴画面数などの組み合わせによる、階段状の料金設定を採用しています。
エンタープライズ向け、法人向けサービスで多いのは、人数や導入台数などのユニット数に応じて、価格を変えるというもの。そしてクラウド、SaaSで多いのが従量制の課金です。実際にはこれらの料金体系を組み合わせているケースが多く、階段状料金を取りながら、その中に人数制限を持たせるなど、さまざまな形態があります。