(4)すぐに相談できる体制整備
困りごとや悩みが生じたとき、すぐに相談できる体制を設けておきます。例えば「相談に乗る相手」「コミュニケーションツール(チャット、メール)」など。「気軽に相談して」と声をかけておくことも大切です。
以上4点を整えておくだけでも、マネジメント側の戸惑いは生じにくくなります。実はこの4点をよくよく見ると、「(1)障がい特性への理解」以外は、健常者のマネジメントにも共通しています。体制・環境整備は決してハードルが高すぎるものではないと感じていただけるのではないでしょうか。
「経営トップ」の意識が
変わると社会も変わる
ここまで、現場でできる取り組みをお伝えしてきましたが、今後さらに重要になってくるのは「経営トップの理解」です。社長や経営陣、あるいは事業部門長による障がい者雇用の必要性や正しい理解が進むと、雇用の受け皿や活躍の機会が各段に増えていきます。
誰もが知る大手流通企業では、社長自らが障がい者雇用の課題に取り組んだ結果、すべての事業所で3%近い雇用率を達成しています。
「多様な人材がそれぞれ持つ個々の能力を、尊重し、生かして活躍してもらえるか」に意識を持てるかどうかは、これからの時代、企業の存続にさえ影響を及ぼすのではないでしょうか。
昨今の日本では、少子高齢化に伴う生産年齢人口減少を背景に、女性、シニア、LGBTQ、外国人など、多様な人材にそれぞれの能力を生かして活躍してもらう「ダイバーシティ&インクルージョン」の概念が浸透しつつあります。
障がい者雇用においても、企業と個人がお互いの強み・弱みを理解、開示していくことで、その方のできること(強み)を生かした、よりよいマッチングが叶います。
企業も個人も、誰かに求められ、役割を持って生き生きと活動することが「サスティナビリティ」につながっていく――リクルートには創業以来大事にしてきた価値観として、「個の尊重」「個をあるがままに生かす」という言葉がありますが、誰もがその人らしい役割をもって活躍できる、そんな社会の実現に貢献したいという思いを持っています。これからも、働くことを願う精神障がい者の方々が、一人でも多く就労機会を得られ、働き続けることができるよう、尽力していきたいと考えています。
(リクルートスタッフィング アビリティスタッフィンググループ 社会福祉士・精神保健福祉士・キャリアコンサルタント 佐渡かおり)