「働きがいのある会社」若手ランキングから見える、伸びる会社の絶対条件「働きがいのある会社」にはどんな特徴があるのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

若手を中心に個人の働く価値観が多様化する今、中長期的な価値向上を目指す企業にとって、社員のモチベーションアップは重要な課題です。働きがいを感じる企業には、どんな特徴があるのでしょうか。働きがいのある会社研究所(Great Place to Work® Institute Japan)が発表したデータを基に、ヒントをお伝えしましょう。

働きがいのある会社ランキングに見る
「若手の働きがい」とは

 働きがいのある会社研究所(以下、GPTWジャパン)は、2021年7月に「働きがいのある会社『若手ランキング』」を発表しました。この発表にあたり、若手の働きがいが高いことが評価されてランクインした企業とランクインしなかった企業を比べ、働くそれぞれの若手が、会社や上司、そして仕事に対してどのような認知をしているのかを分析しました。

 その結果、若手が働きがいを感じられている企業では、入社した人が歓迎されている実感値が特に高く、研修など能力開発の機会も豊富にあることがわかりました。また、周囲の人は仕事に行くことが楽しみであると感じており、仕事の割り当てに満足し、経営・管理者層への信頼が高いということも特徴です。

 GPTWジャパンでは、ランキングを大規模(従業員数1000名以上)、中規模(同100~999名)、小規模(同25~99名)という3つのカテゴリーに分けて発表しています。

 今回の若手ランキングでは、各規模の会社における1位は、大規模:アメリカン・エキスプレス、中規模:コンカー、小規模:現場サポートという結果となりました。各社は共通して、新入社員を温かく歓迎し、早期に組織へ馴染むための工夫を行っていました。また、従業員が自らの能力を最大限に発揮し、主体的なキャリアを歩んでもらうための教育プログラムが充実していることも特徴的でした。

●大規模1位:アメリカン・エキスプレス

 入社時には、各職場でメンバーとの温かい交流の機会があり、相互理解が進むように工夫されています。また、教育プログラムなどを通じた成長の支援や、個々人のキャリアをサポートする仕組みが豊富にあります。

●中規模1位:コンカー

 Welcomeランチ、メンター制度、バディ活動など様々な角度から新入社員を歓迎し、馴染ませる工夫が行われていることに加え、会社の観点だけでなく社会人として生活がスムーズに始められるよう支援していることも特徴です。従業員が才能を発揮・開発し、専門性への挑戦や自己研鑽を積むための様々な制度も充実しています。

●中規模1位:現場サポート

 新入社員を歓迎し、育成していくための施策が豊富に用意されています。教育を『共育』と呼んで“共に育つ”ことを重視し、先輩社員が自らの成長機会として講師役を引き受けて教育プログラムを展開しています。

従業員の「働きがい」を
高めたい日本企業が増加

 コロナ禍で若手メンバーが働く上での価値観は、急速に多様化しています。さらに、企業側でも説明会や面接をオンラインでやらざるを得ないなど、採用手法の変化が相まって、自社に合う人材採用を成功させる難易度が高まっています。

 社内を見渡すと、育成リソースは不足しているにもかかわらず、環境変化のスピードに対応する人材育成、早期戦力化を望む声は高まる一方です。このような課題を抱える日本企業にとって、若手が生き生きと働きがいを持って働くこと、採用した人材が定着し、優秀人材として活躍することは、経営上の大きな関心事であると言えます。