米シリコンバレーでは長らく、会社側が調査結果やデータ、プレゼンテーション資料、対話集会の記録を社員と共有し、透明性を重視することを社是としてきた。だがここにきて、風通しの良い社風にも陰りが出始めている。IT(情報技術)大手では、社内で交わされている議論や社員からの批判が外部に漏れる事態が相次いでいる。最も極端な例が扱いに慎重を期す極秘情報の流出で、その結果、内部情報の管理が強化されており、社員の間でも警戒する雰囲気が出ている。20日には、ネットフリックスの一部社員がコメディアン、デーブ・シャペル氏の特別番組を巡る会社の対応に抗議してデモを決行した。同作品では、シャペル氏がトランスジェンダー(出生時の性と自身が認識する性が一致しない人)を差別する発言を行っているとして、社員や会員から批判が出ていた。アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は社員向けのメールで、極秘情報を社外に持ち出す者に居場所はないと断じた。これについては、IT系ニュースサイト、ザ・バージが最初に報じていた。グーグルは今年に入り、内部文書を社外に持ち出した疑いで人工知能(AI)チームの社員1人を解雇。フェイスブックは先頃、プラットフォームの安全性など特定のテーマに関する社内プラットフォーム上の議論を入手できる社員の対象を制限すると通知した。元社員が内部文書を集めて持ち出したことが発端で、その資料はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)による調査報道の基となった。
シリコンバレーの伝統守れ、開かれた社風に陰り
IT大手では、社内の議論や社員からの批判が外部に漏れる事態が相次いでいる
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