中国政府が「固定資産税」導入で、高まる権力闘争リスク写真はイメージです Photo:PIXTA

新華社通信によれば、中国の全人代(全国人民代表大会)の常務委員会が10月23日に、日本の固定資産税に当たる「不動産税」を一部の都市で試験的に導入することを決定した。とりあえず試験期間を5年とって様子を見るとしている。この狙いは格差拡大の原因になっている不動産の高騰を抑えるためであり、習近平指導部が「試験期間」の建前で本格的に導入するつもりであることは間違いない。だが、そこにはかなりの確執があると考えられる。(評論家・翻訳家 白川 司)

不動産ローン規制が
もたらした不動産危機

 習近平指導部が「不動産バブルつぶし」に取り組んでいる。その第一弾が不動産企業に対する融資規制である。

 中国の中央銀行である中国人民銀行は2020年夏、不動産企業に対して、負債比率など財務指針「3つのレッドライン」を提示し、3つとも守れない企業には有利子負債残高を増やすことを規制した。負債の対資産比率が70%以下、純負債の対資本比率が100%以下、手元資金の対短期負債比率は100%以上という3つのレッドラインに従って不動産企業を4つに分けておのおのの基準で債務規模を制限する。