「アップルウォッチ外来」が心房細動リスク早期発見の救世主になる理由Photo:PIXTA

ニューハート・ワタナベ国際病院の大塚俊哉医師は、アップルウォッチの心電図アプリを活用した無料の「アップルウォッチ外来」を今年4月に開始した。これをきっかけに「心房細動」であることが分かった人もいる。心房細動は脳梗塞を引き起こす原因になるなど、死に至ったり、重症化したりする場合もある危険な病気だ。ただ、これに気付かないケースも少なくないという。知られざる心房細動のリスクやその治療法、アップルウォッチを活用して早期発見、治療につなげる取り組みなどについて、心臓血管外科専門医の大塚医師に聞いた。(医療ジャーナリスト 木原洋美)

脳梗塞を起こす心臓の病気を
アップルウォッチで早期発見

「えっ、俺って心房細動だったの」

 今年5月、関東地方在住の20代男性は、ネットで専門医に相談できる「アップルウォッチ外来」に送ったメールへの回答を読み、驚いた。心房細動(しんぼうさいどう)は脳梗塞を引き起こすリスクもある。男性はそうした危険性を、この専門医からの回答で知ったという。

 以前から、動悸がいきなり速くなる症状は頻繁にあったが、特に苦しくなったり痛くなったりすることもなかったため、このくらいのドキドキはたぶん誰にでも起きているに違いないと思い込み、気にしないできた。

 しかし、最近アップルウォッチを購入し、使い始めたところ、心電図アプリが「心房細動」であることを通知してきたため、心配になって、まずは無料で受け付けてくれるアップルウォッチ外来に相談メールを送ったのだった。

 男性の両親は二人とも脳梗塞の既往歴があった。対応してくれたニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区)の大塚俊哉医師(同病院ウルフ-オオツカ低侵襲心房細動手術センター長)の回答には、「親兄弟が脳梗塞になったことがあるのなら、特に要注意です。当方のホームページでは心房細動に関する情報を詳しく掲載しておりますので、勉強してください」とあった。

 男性は心房細動に関する情報を収集し、いくつかの選択肢を慎重に検討した結果、大塚医師の手術を受けることを決めた。