「一見それほどでもない症状でも、実は放っておくとこわい症状も少なくないのです。最初は気にもとめないわずかな症状が、放っておくと、取り返しがつかない大病になることもあります」。そう話すのは、テレビでも人気の総合内科専門医・秋津壽男氏だ。体からのSOSサインに気づかず、後悔することになってしまった方をこれまでたくさん見てきたという。秋津医師の新刊『放っておくとこわい症状大全~早期発見しないと後悔する病気のサインだけ集めました』は、まさにこうした病気で後悔する人を少しでも減らしたいという想いから生まれたものだ。9月16日に発売となった本書の内容を抜粋するかたちで、日々の健康チェックに役立つ情報を紹介していく。

Photo: Adobe Stock

「片側だけの異常」は脳からのSOSサイン

 脳梗塞は、動脈硬化でせまくなった脳の血管が詰まることで起こる病気です。脳の病気というと激しい頭痛を想像しますが、脳梗塞に頭痛はあまりありません。激しい頭痛をともなうのは、くも膜下出血と脳出血で、とくにくも膜下出血は、脳動脈瘤が破裂した際に激しい頭痛が起こります。

 痛みが少ない脳梗塞では、いかにその前兆に気づくかがカギとなります。このとき大きな情報となるのが、体の片側だけの異常です。脳の病気の特徴として、体の半分に症状が出ることがあげられます。片手だけが動かないとか、片足をひきずるとか、必ず体の半分に異常が起きるのです。

 そのため、歩くと一方向に傾いたり、ろれつがまわらなくなったりします。ろれつがまわらないのは、舌がどちらか一方に曲がっているため、うまくしゃべれないからです。顔の半分だけが麻痺して右と左の顔つきが変わるなど、顔の表情に変化が起きることもあります。

 なお、片側だけの異常は、脳梗塞の前兆としてあらわれることもあります。一時的に脳の血管が詰まることで起きる症状で、一過性脳虚血性発作(別名TIA)と呼ばれるものです。

 血管が詰まったけれど、血栓が小さいなどで再び血が流れて、5~20分ほどで症状がなくなります。片手や片足だけが急にだらりとしたり、ろれつがまわらなくなったけれどすぐに治ったり……そんな脳梗塞の軽い症状が出た際は注意しましょう。「気のせいかな」「治ったからいいや」と思わず、必ず脳外科で検査を受けてください。それで助かった人がたくさんいます。

 そのまま放っておくと、ほとんどはその後に脳梗塞を起こして、体に麻痺が残り、最悪の場合、命を落とすことになります。

(本原稿は、秋津壽男著『放っておくとこわい症状大全』からの抜粋です)