終戦宣言について
米韓の対立が鮮明化

 サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は終戦宣言について、韓国政府との間で集中的な議論をしているが、「正確な順序や時期、またそれぞれの段階の必要な条件について、やや異なる観点を持っているのかもしれない」と述べ、意見の相違があることを初めて認めた。徐薫(ソ・フン)国家安保室長は10月12日、ワシントンを訪問し、サリバン米大統領補佐官に終戦宣言構想を具体的に説明していた。

 これまで米政府は、韓国政府の終戦宣言提案に対し「終戦宣言の必要性について『十分に理解し協力』する」という基本的立場を維持してきた。しかし、サリバン補佐官の発言は、「終戦宣言が今後の米朝交渉や北朝鮮制裁に影響を及ぼす状況を憂慮する」「北を対話テーブルに引き出すための手段として活用するには終戦宣言の拘束力は大きく、意図せぬ副作用を招く恐れがある」という見方を反映したものであろう。

終戦宣言の意味合いについて
理解していない文大統領

 文大統領は「終戦宣言は政治的な宣言にすぎず、いつでも取り消すことができる」と主張する。しかし、一度合意した終戦宣言を取り消すことは現実的でない。しかも北朝鮮は核ミサイルの開発を着々と進めている。

 文大統領の立場とは異なり、バイデン政権は終戦宣言の実質的な波及力と法的効力を重く受け止めているとみられる。

 外交当局者によれば、米国務省の立場は「法律家が終戦宣言の全般的内容について法律的検討をする段階」であり、「宣言文に盛り込まれる具体的表現と文脈がどう解釈されるか、その解釈がどのような主張につながるかなど詳細な検討が必要」というものであるという。北朝鮮は終戦宣言を恣意(しい)的に解釈し、これを在韓米軍や国連軍司令部の地位変更要求などに結び付ける懸念があり、法律的な側面から検討すればするほど終戦宣言の問題点は明らかになるだろう。

 終戦宣言によって北朝鮮の軍事力の拡大抑止や核不拡散のために米国が行ってきた努力が阻害されかねず、北朝鮮や中国が、米韓合同軍事演習の実施や北朝鮮の挑発に対する米韓連合軍の即応体制にいちゃもんをつける口実を与えかねない。終戦宣言をするには、さまざまな状況と条件が合うことが大前提である。