大連関係者によると、京都の名称を外しコンセプトを変えて10月中に再開させることが決まったとのことだ。そのため、正式にはもはや京都の名前も捨てることになった元小京都だが、この記事では紛らわしいので引き続き小京都としよう。
日本国内の各メディアで、小京都は京都の町並みを再現した京風商店街に日本企業などがテナントで入り、食事やショッピングが楽しめるテーマパークであると伝えられている。そもそも、このプロジェクトは突然始まったものではない。実は、2018年から大連市肝いりで大々的にスタートしているもので、地元大連や関わる人間には知られていたものだった。
行政肝いりの小京都が
1週間で休業に追い込まれたワケ
今回、休業の一因となったのがSNSでの炎上だ。
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「ほぼすべてが大連以外の人からの『愛国批判』です。私たちとしても愛国を前面に出されてしまうと何も言えなくなってしまいます。一過性の嵐のようなものなので、過ぎ去るのをじっと耐えて待つだけですよ」(大連の中国人実業家)
日本在住の大連出身者から教えてもらったSNS上での小京都批判を見ると、確かに当初は愛国批判だった。それが、途中から大連市が小京都の事業に60億元(約1037億円)の中国人の税金を投入したことを問題視したものに入れ替わっていた。税金を使用する以上、大連市だけではなく、全中国人に関係するという論理らしい。
だが、「大連市が60億元の税金を投下した」というのはフェイクニュースだ。60億元はプロジェクトにかかった総額であって、そのうちの大連市の出資金額、割合は非公開。したがって「60億元」というのは大連市が出資した金額ではないからだ。もはや炎上させたい仕掛け人側は、事実なんてどうでもよく、炎上させるために使えそうな材料はすべて投入するという感じだったのだろう。
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なかには、昨年9月、広東省仏山市でオープン早々に問題となり、全面改装となった東京・歌舞伎町を模した日本風の歓楽街、「一番街」を持ち出して同じだと言わんばかりの投稿も目立った。
これらも含めて大連の複数の実業家たちは、まったく事実とは違うと苦々しく思いつつ、愛国批判にはあらがえないと沈黙している。